循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 当ててみよう!
2010年11月1日号

ごみ処理の影響はどこまで?

解答 [Answer]
稲葉陸太
【答え】 [4] 世界の産業全体
【解説】

日本の家庭から出るごみの多くは、まとめて集められ、燃やされて灰になったのち、埋め立てられています。このとき、ごみを集めるトラックが使う軽油や、ごみ自身や、ごみを埋め立てるブルドーザーが使う軽油が燃やされることによって温室効果ガス(GHG)が排出されます。

環環ナビげーター:たけ

では問題にあるように、プラスチックだけを分けて集め、リサイクルして再生プラスチックを作るとGHGの排出量はどうなるでしょうか。まず、プラスチックが燃える量が減るので焼却工場からのGHG排出量は減ります。また、埋め立てる量も減るので、埋め立て地のブルドーザーが働く量も減り、そのときに軽油が燃やされて出るGHGの量も減ります。軽油を使う量が減ると、その分、軽油を作る量も減ります。実は、軽油を作るときにもGHGは排出されます。軽油を作る産業でもエネルギーを使うからです。また、軽油を作る産業では鉄やプラスチックの部品を使っており、それを作る産業とも関係があります。このように、全ての産業はほんのわずかでもお互いに関わり合っています。なお、再生プラスチックを作るときに電気を使えば、火力発電などからGHGを排出していることになります。一方、新しいプラスチックを作らなくて良いので、その分のエネルギーを節約でき、GHGの排出を減らすことができます。

ごみ処理も1つの産業です。ですから、ごみ処理が変化すると、日本の産業全体に変化が伝わり、GHG排出量も変わります。このようすは「産業連関分析」で計ることができます。さらに、世界各国の産業は貿易で互いに結びついています。ごみ処理の変化により、軽油や鉄を使う量が変わると、その原料となる原油や鉄鉱石の採掘量も変わってきます。これらの採掘の多くは海外で行われているので、外国の産業に変化が起きます。このようにして、日本のごみ処理の変化は世界各国の産業まで伝わることになります。


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