2010年1月25日号
ノートパソコン中の水銀使用部品川口光夫
【答え】
内蔵ディスプレイのバックライト(液晶を明るくする装置)
【解説】
内蔵ディスプレイのバックライトは冷陰極管と呼ばれ、家庭の照明によく使われている蛍光灯に似た原理で発光する径の細い小型蛍光管が使用されています。 小型蛍光管には、細いガラス管の両端に電極が取り付けられ、中にアルゴンやネオンという不活性ガスと水銀が封入されています。蛍光管の発光は、電極間に高電圧をかけ気体中に存在する電子を加速して水銀原子に衝突させ、励起した水銀原子から紫外線を放出させてガラス管内壁に塗布された蛍光体で可視光に変換することで行います。 このため、バックライトに冷陰極管を使用する限り水銀の使用をやめることはできませんが、近年技術開発が進んだため使用量は5mg/本程度まで減ってきました。また、ノートパソコン中にはバックライトの他にボタン型リチウム電池が使用され、その中にも水銀が微量使われています。 今後は水銀をできる限り使用しない製品づくりがますます求められます。バックライトには水銀を含まないLEDが使用できます。ボタン電池にも無水銀化に成功した電池が販売されています。これらの部品を使用した水銀を含まないノートパソコンが、近い将来製造されるでしょう。 ところで、これまで蛍光灯やノートパソコンのような製品に使用されていた水銀はリサイクルの過程で回収され、再びバックライトなどに使用されていました。ところが、水銀を使用しない製品が製造されるようになると、リサイクルの過程で回収された水銀は溜まるばかりで行き場が無くなります。このため、回収された水銀をどうするかの検討(2010年1月25号「余剰水銀を安全に長期保管するために」参照)が始まっています。 |
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