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プラスチックの処理・リサイクル技術
現地調査記録

 

〔札幌プラスチックリサイクル株式会社〕
訪問日: 2003年3月10日
 
◆ ヒアリングメモ


札幌プラスチックリサイクル株式会社へのヒアリング調査に基づき整理した施設の概要を以下に示す。

  • SPRは、容器包装リサイクル法分別基準適合物である廃プラスチックの油化処理を行うために東芝が札幌市リサイクル団地に設立した施設である。
  • プラスチックごみの平均的な組成は、
    PS30.8%、PP24.6%、PE19.8%、PET14.1%、PVC1.8%、PVDC1.6%、その他プラ3.4%、異物3.9%である。
  • PP、PP、PEの3樹脂は油化に適した樹脂であるが、PET、PVCは油化に適さない。
    SPRでは、当初、PVCの比率を約10%と想定していたが、近年、PVCの比率は減少傾向にあるという。
    一方、PETの比率は上昇している。
  • ベール状の容リプラは、リフタで持ち上げられ、破砕機に投入される。
    破砕機により、ベールはフレーク状に破砕され、その後、造粒機に圧送される。
  • ドイツ製の造粒機により、6mm×20〜30mmのペレットとなる。
    ペレット状にするのは、脱塩のためであるという。
    PVCが混入していないのであれば、脱塩の必要はなく、廃プラをフレーク状のまま熱分解装置に投入できる。
  • ペレットは、脱塩装置ホッパでいったん貯留後、脱塩装置に投入される。
    脱塩装置では、ペレットを電気ヒーターで加熱し、PVCを約350℃で分解する。
    その後、溶融プラスチックとして溶融槽に貯め、そこから脱塩ガスを除去する。
  • 溶融プラスチックは、熱分解装置で熱分解される。
    熱分解油は、熱分解油ドラムに貯蔵され、110℃まで冷却される。
    その後、生成油回収塔で240℃くらいまで加温し、精製する。
  • 回収された脱塩ガスは1,300℃で燃焼するため、油分は完全に燃焼する。
  • 熱分解装置では、外側から熱風加熱され、約400℃となる。
    熱分解残渣は、粉体状で砂時計の砂のような形で熱分解装置下部から回収する。
  • 熱分解装置は、内筒と外筒の2筒構造である。
    溶融プラスチックを熱分解し、発生するオイルガスは、内筒と外筒の間をぬって回収される。
    残渣は、内筒から回収するが、内筒中に直径50mmのセラミックボールを入れ、それを回すことにより、内面に残渣が付着するのを防止している。
    また緊急時のガス抜き用ハイベントも備えている。
    なお、熱分解装置はバッチ運転される。
  • 蒸留塔では、加熱炉で230℃まで加熱し、精製する。
    分解油ドラムのところでPET等を析出し、除去する必要があるため、一度冷却してから、再加熱するというエネルギーの無駄が生じている。
    PETを除去するのは、PET由来の有機酸に腐食能があるためである。
  • 重質油は、重量単位で勘定される。
    これは、常温では固体であるためであり、50℃くらいに加温するとサラサラの状態になる。
  • 油化プロセスの生成物の構成重量比は以下の通りである。
    軽質油32、中質油7、重質油26、残渣13、オフガス20、HCl2
  • 東芝の油化プラントでは、油としての回収率が60%(重量比)を超える点が特徴となっている。
    新潟や三笠の油化プラントでは、粉体レベルまで分解しないため、回収率はここまで高い値とはならない。
  • 熱分解の経験則として、原料構成に占めるPSの比率が高いと軽質油、PPの比率が高いと中質油、PEの比率が高いと重質油の割合が高くなるという。

 

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