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プラスチックの処理・リサイクル技術
現地調査記録

 

〔いその株式会社〕
訪問日: 2005年3月24日
 
◆ 同社ウェブサイト
いその株式会社 http://www.isono21.co.jp/
 
◆ プロセスフロー
いその(株)へのヒアリング調査及び工場見学に基づき整理したプロセスフローを次図に示す。
図 いその(株)のプラスチックマテリアルリサイクルプロセス
図をクリックすると拡大します
図 いその(株)のプラスチックマテリアルリサイクルプロセス

 

 

◆ ヒアリングメモ

 

<取り扱っている廃プラスチック>

  • プラスチックのリサイクル業界において、原料となるプラスチックは、大きく以下の3つに分類される。
    このうち、いそのではAの市場回収品をメインに取り扱っている。
@
工程内回収品
A
市場回収品 バッテリー、コンテナ等の比較的質のよいもの
B
容器包装、家電、建設廃棄物等の比較的質の悪いもの



  • いその(株)で扱っているプラスチックは硬質のものが中心である。具体的には市場回収されたバッテリーケース(PP製、鉛回収後に購入)、パレットなどである(次表参照)。
表 いそので引き取っている市場回収品の例
樹脂種類
用途
PP   バッテリーケース、自動車バンパー、コンテナ、育苗箱など
PS   コードリール、パソコン、テレビのバックカバーなど
ABS   パソコンのバックカバー
HDPE   灯油缶、コンテナ、ガス管など
出所:いその(株)HP

 

 

  • パソコンのプラスチックについては、クローズドリサイクルを検討したことがあるが、再生材ではUL等の難燃規格をクリアできないため、現在は扱っていない(他の市場回収品をパソコンに利用することはある)。
  • テレビのバックカバーについては、バージン材の価格が安くなり、コスト的に合わなくなったことから、現在はほとんど取り扱っていない。
  • バッテリーケースについては再生材を利用したものはないが、パレット・コンテナについては再生材を利用したものがあり、バージン材を利用したものと分ける必要がある。
    再生材を利用したものは黒やグレーのものが多いため、仕入れの際に注意している。パレットについては、とりあえず再生材を使いやすいことから、需要は増えてきているが、パレット自体の品質は落ちてきている。
  • コードリールにはPS製のものとABS製のものがある。
  • 軟質のものはあまり扱わないが、最近ではPEフィルムとPETボトルから選挙ボードを作成したことがある。
    PETボトルについては、再商品化されたペレットを購入した(容リ法の再商品化事業ではない)。
  • 容リプラについては、スペースが必要なことと臭気があることから、容リ法の再商品化事業は実施していない。
  • 調達先は関東から九州まで分布している。
  • 自社で直接収集するのは、岐阜県、愛知県ぐらいである。遠方の場合には、群馬県や四国の同業者が一旦収集し、破砕したものを受け入れている。
  • 1ロットあたり最低でも1〜2t程度でないと引き取れない。

 

<廃プラスチックの再生>

  • 調達した廃プラスチックは、樹脂別(更にはグレード別、色別)に選別したものを粉砕・洗浄したのち、リペレットしている。
  • 現在は廃プラスチックの発生元が樹脂別に分別してくれているケースが増えてきた。
    分別はコスト高となるため、よほどのことがない限りやらない。
    20年前まではバージン材が高かったため、分別しても商売として成立していた。
  • 粉砕は10〜15mm角程度まで行っている。
  • 粉砕したものを湿式洗浄したのち遠心脱水している。
    洗濯機のような工程をイメージしてもらえばよい。
  • 現在は、洗浄までのプロセスを協力工場に委託しており、いそのではリペレットのみを行っている。
    協力工場はわりと小規模なところが多く、規模の大きいところで処理能力4t/日程度である。
  • 原料の調達がストップすることも考えられるので、常に半年分程度の原料はストックしている。
  • リペレットの前にテストケースを作成し、その物性を見て配合を決定する。
    意図した用途での利用が難しいようであれば用途変更する。
  • 試験項目は、衝撃、流動性、曲げ強さ、弾性、引っ張り強度、伸び強度、硬度、熱変形温度、水分、比重、耐候性などである。
  • タンブラーで攪拌(1バッチあたり30分程度)して調合したのち、ルーダーマシンでペレットを製造している。
  • 色については目視で検査しているが、必要に応じて分光器等を用いた検査を実施している。
    顔料には無機系と有機系があるが、混入率は白色の場合3〜4%、黒色・グレーの場合は1%程度である。
    真っ黒な色を出すのは難しい。

 

<再生材の販売・利用>

  • 再生材のメリットは、低価格と製品イメージ向上である。再生材の需要はバージン材の価格に左右される。
    バージン材が安くなると価格面でのメリットがなくなる。
  • いそのの製品はバージン材に近い品質で少し安価なものとなっている。
    顧客(ユーザー)があって、その要望に応えて品質を決定する。
  • ユーザーが品質に要求する水準はバージン材ほどではないにしてもかなり高い水準である。
  • ユーザーから引き取ったプラスチックを再びユーザーに戻すというケースもある。
  • 文具メーカーのようにエコマーク製品を製造している企業等からの再生材の引き合いが増えている。
    一方、安価であるという理由から再生材を求める企業もある。
  • バージン材の価格は現在、輸出等で再生の玉が無く、価格についてはバージンと同様再生も変動あり。
  • 東京に搬入する場合、輸送コストは10円/kg程度かかる。
    調達の場合は他社(持込者)負担、販売する場合は自社負担である。
  • 具体的な利用事例としては、育苗箱(バッテリーケース打ち抜き材を使用)、自動車部品(自動車インパネを使用)、テレビスピーカーのケーシング(バッテリーケースを使用)など。

 

<その他>

  • 関東から九州という広域にわたって、再生材の原料となるプラスチックを調達できるネットワークを構築できていることが当社の強みとなっている。また、ユーザーの要求に応えるだけの高い配合技術を保有していることも強みである。
  • 業としてはバージン材の調合等も行っている。再生プラ事業の割合は全体の40%程度である。

 

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