循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2009年6月8日号

使用済みの携帯電話

村上(鈴木)理映

 使い終わった携帯電話をどうしていますか?機種変更をした時に、販売店から「なんとなく」持って帰って来て、電源を二度と入れないまま、家の中に「なんとなく」置きっぱなしにしている人も多いのではないでしょうか。

 携帯電話会社などの通信事業者は、責任を持って(2007年10月15日号「生産者の責任」参照)情報を消去した上でリサイクルを行っており、販売店を通じて回収を呼びかけてはいますが、消費者はなかなか応えてはくれず、通信事業者を通じた回収台数は減少しています。そのような中、家電量販店の中にも自ら回収ボックスを設置して回収するところが出てきており、今後の回収への取り組みが注目されます。

 また昨今の都市鉱山(2009年1月26日号「都市鉱山」参照)ブームから、2008年度には全国に3つのモデル都市(秋田県の大館市とその周辺、茨城県日立市、福岡県大牟田市)が設定され、自治体が中心となって携帯電話をはじめとする小型電気電子機器を回収し、効率的に金属資源を取り出すリサイクル(2009年6月8日号「都市鉱山と金属資源のリサイクル」参照)が実験的に行われました。ゴミ集積場所での指定日の回収を行うほか、公共施設やスーパーなどに回収箱を設置し、市民に協力を呼びかけました。その結果、市民の中には、見返りがなくても小型電気電子機器をきちんと分別して排出する人も一定数いることがわかり、こうして集まった小型電気電子機器から、多種の金属がリサイクルできることもわかりました。

Dr.グッチー

 一方リユースの動きとしては、個別の携帯電話番号を認識するための重要な情報が登録されたSIMカードさえ持っていれば、それを差し替えて他の携帯電話でも使える仕組みとなったことも手伝い、中古携帯電話が普及し始めています。中古市場には1つ前の機種などが豊富に揃っており、安く携帯電話を購入したい人や、1台のカードで複数の機種を使いたい人などを中心に市場が急速に拡大しています。

 さあ、あなたは、使用済みの携帯電話をどうしますか?[1]「なんとなく」家の中に置きっぱなしにしておく、[2]自分たちが使っている精密機械を作るために必要な金属資源をリサイクルするために自治体や販売店での回収に協力する、[3]中古携帯ショップに売る・・・今度機種変更をする時には、この話を思い出して、皆さんにとって、長期的に好ましいと思う道を選んでください。

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