活動レポート
2014年5月号

資源循環・廃棄物研究センター 2014年 春の一般公開

多田 容子

国立環境研究所では広く一般の方に研究所の活動について理解を深めて頂くために、4月の科学技術週間と7月に一般公開を行っています。
 今年も4月19日土曜日に主に高校生以上を対象とした一般公開「春の環境講座」が開催されました。
 当日は肌寒い気温のなか、かつ強風という天候ではありましたが、519名という多くの皆様にお越し頂きました。厚くお礼申し上げます。

今年の環境講座では当センターからは佐野和美特別研究員が代表を務める若手研究グループによる「日本の環境教育・リスク教育の現状と今後の在り方とは」と尾形有香特別研究員による「植物を活用した廃棄物埋立地浸出水の処理への試み」のパネル展示を行いました。

写真:パネル説明の様子 写真:パネル説明の様子

「日本の環境教育・リスク教育の現状と今後の在り方とは」では、日本において環境・リスク教育はどのぐらい、そしてどのように行われているのか、官公庁や環境教育の専門家、NPO法人や企業などへのヒアリングを通してのESD(持続可能な開発のための教育)の概念の元で行われている環境教育の現状を紹介しました。
 教育現場では環境教育が体系立てて取り組まれてはおらず、「理科」、「社会」、「保健体育」などの科目の中で断片的に実施されていることや、継続して進めるためには限られた人・組織による活動が多いため、体制として弱いこと、また、活動を経て得られた知見は活動実施主体のみに蓄積され、周りに共有したり政策に活かしたりできる仕組み作りが遅れていることなどのお話にはご来場の方も関心を持って聞いて頂けたと思います。

「植物を活用した廃棄物埋立地浸出水の処理への試み」では、タイ王国の廃棄物埋立地に、植物と濾材(ろざい)を活用した水処理 (人工湿地) を導入し、埋立地浸出水の処理に活用した取り組みについて紹介しました。
 東南アジア諸国では、雨季による大量の降雨により廃棄物埋立地より発生する汚水 (埋立地浸出水)が未処理のまま環境中へと放出することがあり、浸出水量の削減が対策として必要とされていますが、埋立地に自生していたガマを植栽することで水量削減を促進でき、低コスト低エネルギーの人工湿地を構築できそうだとのお話には皆様興味深く聞いていらっしゃいました。

次の一般公開は7月19日土曜日に夏の大公開が予定されています。春の一般公開は主に高校生以上の一般の方を対象としたものですが、夏の大公開はお子様も含めご家族みなさんで楽しんで頂けるような形で研究成果を分かりやすくお伝えできるようにしたいと思いますので、ぜひお越しください。

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