循環・廃棄物の豆知識
2016年1月号

ごみの排出者としての責任

秋山 貴

みなさんは、ごみを出す者がその処理やリサイクルなどに責任を負うべきとする、ごみの排出者責任について考えたことはあるでしょうか。ごみの処理に関する国民の責務は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」1)(「廃棄物処理法」または「廃掃法」と略称)において次のように規定されています。

(国民の責務)
第二条の四 国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

また、循環型社会形成推進基本法2)にはもう少し分かり易く、「製品をなるべく長期間使用すること、再生品を使用すること、循環資源が分別して回収されることに協力すること等」と示されており、廃棄物処理法の規定と合わせて考えると、実質的には、リデュース(ごみの量を減らす)とリユース(再使用する)の2R行動に加え、分別ルールを順守することが家庭ごみの排出者である我々国民の責任といえるでしょう。具体的には、買い物時にはマイバッグを利用してレジ袋を貰わない、食べ残しを減らす、必要以上に買わないなどの取り組みでごみを減らし、それでも出たごみは居住自治体の「ごみの分け方・出し方ガイド」や「ごみカレンダー」3)に沿って適切に廃棄することが求められています。

その際、気を付けなければいけないのは、2R行動はどこに住んでいるかに係わりなく取り組みを進めていけばよいのに対し、分別行動は自治体によってごみ出し・分別ルールが大きく異なるため、居住地域のルールを守ることが重要だということです。イラスト例えば、国立環境研究所は茨城県つくば市にあり、プラスチック製の容器包装ごみは燃やせるごみとして出しますが、お隣のつくばみらい市では資源ごみになっています。一方、使用済みの食用油は、つくばみらい市では燃やせるごみですが、つくば市では回収ボックスで資源として回収(燃やせるごみでも可)しています。実際、茨城県内の自治体でのごみ分別数は、最少で5品目、最大で23品目4)となっており、同じごみでも自治体によって対応はまちまちです。そのため、引っ越し先の自治体の仕組みを覚えること、同じ場所に住んでいてもルールの変更に対応することが必要です。

ここ10年以上、1人1日当たりごみ排出量は減り続けています5)が、まだ多くのごみが発生しています。日頃からごみの排出者責任を自覚して、ごみ減量とごみ分別に取り組みましょう。

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