循環・廃棄物の豆知識
2014年3月号

廃棄物埋立地浸出水 -日本と東南アジアの比較-

尾形 有香

廃棄物埋立地浸出水とは

廃棄物埋立地浸出水とは、廃棄物埋立地に雨が降り、雨水がごみの層 (廃棄物層) を浸透する過程で、廃棄物から色々なものが溶け込んだ汚水のことです。廃棄物埋立地浸出水には、有機物、塩類、アンモニアや重金属などが含まれており、埋め立てられている廃棄物の種類によっては、有害化学物質が含まれている場合もあります。廃棄物埋立地浸出水の性質は、埋め立てられるごみの種類、埋立後の経過年数、埋立構造や気象条件によって変化します。例えば、ごみを埋め立てる前に行なわれたリサイクルや中間処理の種類によっても浸出水の特徴は大きく異なります。

日本では、一般廃棄物 (生活ごみや事業所ごみ) の約8割が焼却されています。埋立地に埋め立てられるごみの多くは、焼却残渣や不燃物残渣 (プラスチック、ゴム、金属等) になっています。焼却の過程において、発生した酸性ガスを中和するためにアルカリ性の消石灰 (Ca(OH)2) が使用されることが多いため、焼却残渣には、消石灰由来の塩類が多く含まれます。このため、焼却残渣を多く含む日本の埋立地浸出水は、塩類を多く含み、微生物によって分解し易い有機物 (易分解性有機物) が少なく、pHは中性~弱アルカリ性を示すことが特徴として挙げられます。

一方、東南アジア諸国では、ごみは中間処理されずに直接埋め立てられることが多いです。この場合、埋め立て初期においては、有機酸などの易分解性有機物を多く含み、pHは弱酸性を示しますが、時間の経過に伴って、微生物によって分解しにくいフミン酸などの有機物や無機物の割合が多くなり、pHは上昇します。

廃棄物埋立地浸出水による問題とその対策

廃棄物埋立地浸出水の管理が不十分だと、汚濁物質を含む埋立地浸出水によって、周辺環境が汚染される可能性が高まります。埋立地から排出された浸出水の漏出や未処理での放流により表層水 (河川や湖沼) を直接的に汚染することだけでなく、埋立地から地盤に浸透し地下水を汚染することも懸念されます。飲料水源の汚染や汚染された農業用水の使用は、周辺で生活する人への健康に悪影響を及ぼすことが懸念されます。また、農業用水の汚染は、産業の生産性を低下させるなど、二次的な影響も与えます。環境安全な埋立地管理を行うためには、浸出水の発生量を減らすとともに、埋立地外への漏出を防ぎ、回収した浸出水を適正に管理する等、包括的な対策をとることが重要になります。

日本では、1つの対策だけでなく以下のような様々な対策を組み合わせる多重安全構造によって、廃棄物埋立地浸出水を管理しています。

  1. 廃棄物層に浸透する雨水を削減する;廃棄物層に土をかぶせて覆う、雨水の浸透を防止する構造(表面の傾斜や雨水集排水管)を設置する。
  2. 埋立地底面・側面からの漏出を防止する;浸出水の地盤浸透を防ぐための遮水構造を底部に設置する(最終処分場からの汚水の漏れを防ぐ技術、2010年9月号)。
  3. 発生した浸出水を速やかに確実に集める;浸出水が収集される排管(浸出水集排水管)を埋立地内の側部、底部に設置する。
  4. 水質にあった適切な浸出水処理施設によって水質を制御した上で環境に放流する。

一方、東南アジア諸国では、現時点での経済力・技術力では、日本のように十分に浸出水を管理することが難しいのが現状です。それに加えて、東南アジアの気候は乾季と雨季を有することから、埋立地浸出水の水質・水量の変動に対応する必要があります。現在、東南アジアの多くでは、日本のように浸出水を処理し放流するのではなく、浸出水を人工的に作った池 (貯留池) に集めて、自然蒸発することで水量を削減し管理をしています。しかし、雨季における大量の降雨によって、貯留池の容量を超える浸出水が発生し、系外に漏出されるなどの問題を抱えています。東南アジアでの浸出水管理では、いかに、水量を削減できるかがポイントとなります。そこで、私達は、水量削減に着目し、東南アジア諸国に適した浸出水管理システムを提案できるように、研究を進めています。研究内容については、本号の「アジア地域の埋立地における水管理」をご覧ください。

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