循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2011年3月14日号

IPCCガイドライン

山田正人

 気候変動枠組み条約を批准した各国が国連への報告のために温室効果ガス排出量を推計する方法は、通称IPCCガイドライン(正式には「気候変動に関する政府間パネル国別温室効果ガス排出インベントリガイドライン」)にまとめられています。このガイドラインは、気候変動の影響等をまとめた有名な評価報告書と共に、IPCCが発行する成果物の一つです。

 京都議定書による約束期間(2008年から2012年まで)で用いるガイドラインは1996年改訂版と、それを補足する2000年および2003年発行のグッドプラクティスガイドラインですが、これらを改訂した2006年版のガイドラインが最新版となっています。

 2006年版ガイドラインでは、人為的な温室効果ガスの排出源として「エネルギー」「産業プロセスと製品の利用」「農業、林業とその他の土地利用」「廃棄物」の各分野が取り上げられています。「廃棄物」分野では、「固形廃棄物の処分」により発生するメタン、「固形廃棄物の生物処理」により発生するメタンと一酸化二窒素、「焼却と野焼き」により発生する化石燃料由来の二酸化炭素と、メタン、一酸化二窒素、「排水の処理と放流」より発生するメタンと一酸化二窒素の推計法に関するガイダンスがあります。

 温室効果ガスの推計は基本的に活動量(化石資源の消費量、廃棄物の焼却量など)に単位活動量あたりの温室効果ガス排出量である排出係数を乗じて求めますが、2006年版ガイドラインでは、独自の統計や調査研究が不十分な国でも排出量が推計できるように、推計の方法を選ぶためのフローチャートや、「廃棄物」分野では、活動量として世界の地域毎にごみの排出量や処分方法をまとめ、生ごみや紙などの都市ごみの組成を整理するとともに、排出係数として、気候帯毎のごみの分解速度などを示すなどの改善がされています。

環環ナビゲーター:りえ、Dr.グッチー また、より地域や経済・技術の変化に即した排出係数を用いることができるように、IPCCから排出係数データベース(EFDB)が提供されており、最新の各国の報告書や論文で得られたデータが登録されています。

 (IPCCガイドラインはhttp://www.ipcc-nggip.iges.or.jp/public/2006gl/index.htmlに公開されています。)

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