循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2008年11月17日号

廃棄物系バイオマス

成岡朋弘

 バイオマスとは、生物資源の量を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義され、その存在状態によって、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物等のその他バイオマスに分類されます。ここで、廃棄物系バイオマスは、利活用されない場合、廃棄物として有償処理されるバイオマス資源であり、家畜排せつ物、生ごみ等の食品廃棄物、廃木材等の木質バイオマス、古紙等の廃棄される紙、パルプ工場の廃液である黒液、水産加工残さの水産廃棄物等が含まれます。

 石油のような化石資源は、地下からの採掘を続けていればいずれは枯渇しますが、バイオマスは、持続的に再生可能な資源です。例えば、植物は太陽と水と二酸化炭素があれば、持続的にバイオマス資源を生み出すことができます。また、バイオマス資源を燃焼させた際に放出される二酸化炭素は、化石資源の燃焼によって出る二酸化炭素とは異なり、生物が成長の過程で体内に吸収した炭素を起源とする二酸化炭素であるため、そのバイオマスが持続的に生産されている限り、大気中において新たに二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」な資源と言えます。

 これらのバイオマス資源を有効に利活用するために、平成14年12月27日に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、平成18年3月31日には、輸送用燃料等へのバイオマスエネルギーの導入促進を踏まえた改訂が行われました。これは、バイオマス資源を、エネルギーや製品として総合的に利活用し、持続的に発展可能な社会「バイオマス・ニッポン」の実現をめざしたものです。この取組において、廃棄物系バイオマスは、発電・熱利用や自動車用燃料の生産等を目的とした活用が検討されており、2020年までに、炭素量換算で80%以上の利活用が目標となっています。

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