循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2007年6月4日号

埋立地の跡地利用

坂内 修

 最終処分場では周辺環境に汚染が広がらないように管理された土地(以下、埋立地)に廃棄物の埋立を行っています。埋立地に廃棄物を埋め立てていくと、やがていっぱいになり、それ以上埋め立てを行うことができなくなります。 では、ごみの埋め立てが終了した埋立地はどうなるのでしょうか。ここでは埋立地のその後について安定化と跡地利用というキーワードから解説します

 埋立地では埋立された廃棄物が分解されます。この分解は長い時間をかけて進行し、やがて分解反応は十分小さくなります。この現象を安定化といいます。 安定化の状態は埋立地から浸み出てくる水(浸出水といいます)の水質や、地表面から放出されるガス、内部の温度などを調査することによって把握することができます。埋立地の安定化の調査により安全性が確認された土地では、跡地の有効利用を行うことができます。

 埋立地の跡地利用では、この安定化の状態を維持することが条件となります。例えば、跡地利用の際に大規模に掘削してしまうと埋立された廃棄物に空気が入り込みせっかく安定化した埋立地からガスが発生したり、掘削により周りの地下水が汚染されたりします。 このため跡地を大きく変える工事を行うためには十分な注意が必要です。

 埋立地の跡地利用の例としては、公園としての利用やグラウンドやゴルフ場などの屋外スポーツ施設として利用例が多いです。これらの施設は埋立地を大きく変えることなく土地利用ができます。他にも倉庫や清掃工場などに利用されている例があります。海にある埋立地(海面処分場)では、空港として利用されている例があります。

 戦後からしばらくは、まず目の前にあるたくさんのごみを処理・処分することを優先し、埋立地の跡地利用まではあまり考えられてきませんでした。しかし跡地利用を意識しない埋め立てにより長期的に土地が利用できなくなることは、埋め立て地の維持管理に余計なお金がかかってしまうだけでなく、いつまでリスクが続くのかわからないという周辺住民への不安につながります。 これからの最終処分場では計画段階から埋立地の跡地利用を考えておくことが必要です。

※)2007年4月までセンターに在籍
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