循環・廃棄物のけんきゅう
2014年1月号

循環型社会を支える破砕選別

山田 正人

建設混合廃棄物

産業廃棄物処理ではリサイクル(または再生利用や再資源化)は当たり前です。平成20年度では排出量約4億366万トンに対して再生利用量は約53.6%にあたる約2億1,651万トンが再生利用されています1)。建設リサイクル法2)によって再生利用が進められている建設業からは、汚泥(建設汚泥)や、がれき類(アスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊)、木くず(建設発生木材)などが、平成20年度で約6,380万トン場外排出されており、約92.2%にあたる5,841万トンもの廃棄物が再資源化されています3)

産業廃棄物の世界でも、リサイクルを進めるため最も重要な技術は各家庭で行われているのと同じく、排出源分別です。生産の場の様々なプロセスから発生する廃棄物を出す前に混ぜないこと、また、建造物を建設・解体するときには、現場で廃棄物を出す前に種類毎に分けることです。産業廃棄物は、例えば木やプラスチック、石などの素材ごとに分けておけば、家庭ごみと比較して品質が一定したものが大量に発生するので、むしろ再資源化しやすいのです。

しかし、産業廃棄物の中にも、出す前にどうしてもうまく分別できないものがあります。建設混合廃棄物はその代表的なもので、建造物を建設・解体するときに発生する、構造物を構成していたコンクリート塊や木くず、雨樋や配管、床材などの廃プラスチック、段ボール箱などの紙くず、屋根や壁材などで使われていたガラス類や陶磁器類などなど、雑多なものが混合された廃棄物です。これをそのまま燃やしたり、埋め立てていたのでは、先に示した高い再資源化率は達成できません。建設混合廃棄物は排出された後に、破砕選別施設に運ばれ、輸送効率を高めるため小さなサイズに砕かれた後に、様々なものに選別されます。

私たちは実態があまりよくわかっていない、この破砕選別という技術を再評価し、さらに高度なものにするための研究を行っています。

破砕選別技術

破砕選別施設に取り入れられている個別の技術については「まめ知識 破砕選別のしくみ」に解説があります。破砕選別施設では重機や人の手、機械を用いた様々な技術を組み合わせて、再利用できる資源を取り出します。残りの資源として利用できない、汚れている可燃物やふるい選別をして最後に残ったふるい下残さなどは、焼却処理や最終処分場に送ります。図1には破砕選別施設で選別されたものがその後どこにゆくのかを、埼玉県でアンケート調査などで調べた結果を示します。なお、図で「別のところでさらに処理」は他の施設に運ばれて、金属スクラップの破砕(シュレッダー破砕)や木を素材や燃料として使うための加工(チップ化)などが行われるものです。この地域では建設混合廃棄物の7割以上が再資源化されており、破砕選別施設が廃棄物を集め、加工して、全国に存在する資源化や処分を行う先に仕分ける流通拠点となっています。

図1 建設混合廃棄物の処理後の行き先 図1 建設混合廃棄物の処理後の行き先

破砕選別というビジネス

図2 破砕選別施設におけるリサイクルと率と各費用の関係 図2 破砕選別施設におけるリサイクルと率と各費用の関係

建設系の産業廃棄物で再資源化が進んでいるのは、建設リサイクル法によって、再資源化の目標が定められ、公共工事等で再資源化された資材等が利用されているところが大きいですが、もう一つ、破砕選別というビジネスが、受け入れた廃棄物を焼却や最終処分するよりも、利益が得られる構造になりつつあるからです。図2は破砕選別施設へのアンケート調査によって得られたリサイクル率(受入量に対する再生利用量の比)と再生品の処理費と売却益、処理残さ(ふるい下残さ)の処分費、技術費(施設稼働経費)の関係を示したものです。縦軸のマイナスは費用、プラスは利益です。再生品の処理費と売却益は常に利益側にあって、リサイクル率が大きくなると若干減少する傾向にありました。これは、再生品として品質が、たくさんとりだせばとりだすほど、どうしても悪くなってしまうことが原因と考えられます。処理残さの処分費はリサイクル率が大きくなると大きく減少しました。焼却処理や最終処分など従来の廃棄物処理に要する費用が、破砕選別施設にとって主要な損益であり、これを減らすことがいかに重要であるかを示しています。技術費(管理部門の人件費と設備投資は除く)はリサイクル率が大きくなると減少し、リサイクル率を上げることに追加の費用はあまり必要ないことを示しています。全体としてはまだ利益より費用のほうが大きく、処理業としてお金を取らないと利益が出ない、すなわち再生品の売却だけでは自立できませんが、リサイクル率を大きくすることが、経費削減に大きく寄与していることは明らかです。

災害廃棄物処理への応用と展望

地震や津波、洪水、土砂崩れ等により発生する災害廃棄物の多くを占めるのは家屋等の倒壊物ですから、破砕選別技術はその処理や再生利用に応用可能な技術です。東日本大震災は、被災地の範囲があまりにも広く、量が多く、廃棄物が津波堆積物という土砂と混ざった状態で集められたため、焼却を主な処理とせざるを得ないことがありました。土砂混じりの災害廃棄物への対応という課題を解決するひとつの方法として、東日本大震災でも活躍した廃棄物の種類を人の目と手で分ける、手選別工程の性能を評価する研究を遅ればせながら進めているところです。また、最終処分容量が切迫するにつれ、選別後の「ふるい下残さ」の最小化と再資源化のための技術への必要性がより高まっており、業界、大学また他の研究機関と共同して、技術開発を進めています。

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