研究開発連携の推進

資源循環・廃棄物研究分野における横断的な取組として、今期より同研究センターに新設した「研究開発連携推進室」が中核となり、連携推進のテーマに応じて「災害・放射能汚染廃棄物等対策チーム」、「アジア等研究・技術開発推進基盤チーム」(循環型社会研究プログラムPJ2と連携)、「循環型社会地域再生チーム」(循環型社会研究プログラムPJ3と連携)を編成し、国内外の関係機関との協力・連携を図りながら、研究プログラムや政策対応型廃棄物管理研究との連動も意識しつつ、精力的に『研究開発連携の推進』活動を展開します。


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3R分野におけるアジア等研究・技術開発推進基盤の構築

アジア地域においては、都市の拡大に対して廃棄物管理の発展が追いつかず、廃棄物管理由来の環境問題が深刻化する状況にあります。不適切な廃棄物管理の代表例としては、野焼き、オープンダンピング、手工業的な資源回収などが挙げられ、こうした活動に伴う健康被害や人命の損失な ど、最低限の公衆衛生さえ確保しきれていない現状が指摘されています。また、昨年タイで発生した水害においても廃棄物管理は大きな問題となり、都市化の進行 と防災対策の遅れのひずみが、問題を増幅させていることは明らかです。都市廃棄物問題には、文化や気候の影響を強く受ける地域特異性が反映される反面、 共通の問題発生構造や近隣地域での類似性もあることから、各都市・地域で個別の課題解決に向けた知見や経験の共有により、迅速かつ効率的に地域課題の解決 策を提示することが期待されます。また、都市の将来計画の立案においても、他都市の取組事例(失敗事例も含む)や社会システム評価の蓄積を元に、社会の実情 にあった選択肢の発信が可能になると考えられます。以上のように、社会で研究者コミュニティが求められている科学的知見や成果の発信を支援するクラスタの形 成を、本研究拠点形成の第一義に置きます。あわせて次世代の研究者育成とその早期からのネットワーク化を図ります。その目的は、循環・廃棄物分野におけるアジア地域の多様な人材を発掘・育成することで、分散かつ限定された各国の研究者からの発信力を強化することで社会に貢献することにあります。

3R分野におけるアジア等研究・技術開発推進基盤の構築

前年度の成果

2009年頃から継続している準好気型埋立等最終処分地に関する適切な管理手法に関する研究活動を中心に、2012年12月、タイ・バンコクにあるキングモンクット工科大学トンブリ校、カセサート大学および当センターの3者は覚書付属書を交換し、廃棄物管理分野の共同研究拠点を設立した。その他廃棄物管理分野の本格的な共同研究活動は来年度以降を見込んでいるが、本年度は2011年に発生したタイ洪水を受けて、7月に洪水廃棄物管理に関する実務者トレーニングを開催した他、2012年1月にはE-waste Workshopを開催し、東南アジア域内および国際的専門家の意見交換の場を設置した。


今年度の研究概要

1.個別研究遂行の包括的な支援及び研究推進の事務局機能

(1)現場での観測・調査を円滑にすすめるための資機材・試料・データの集約基地として活用する。

(2)関連研究者のクラスタ化と情報共有、問題提起などを目的としたWSを開催する(廃棄物管理と温室効果ガス排出削減の両立に関するWS、廃電子電気機器類の国際資源循環WS等を想定)

(3)NIES研究者とアジア地域の研究者の間で実践的な研究シーズと提供可能なリソースのマッチングを行い、新規国際環境研究の立ち上げ(廃棄物の熱処理・エネルギー回収技術の現地化を想定)を支援する。


2.アジア都市の廃棄物管理に関する情報集積と発信

(1)アジア都市の廃棄物管理に関する統計、施設、取組事例や地域の研究者による成果に関する情報基盤(データベース)を整備する。

(2)各国の主要都市および地方都市が必要とする学術的な面からの支援に対し、要請なしで研究者情報(シーズ・成果含む)にアクセス可能なインターフェー ス(Webリソース等)を提供する。同じく、IPCC、UNEP、OECD等の国際機関の要請に応じて専門家クラスタとしての知見や研究成果の提供、適切 な研究人材の紹介を行う。

(3)拠点に関連する専門家同士による、研究の連携的実施ならびに多国間ネットワークでの情報共有・意見交換のためのプラットフォームを構築する。


3.次世代の研究者ネットワークの育成

(1)若手研究者、技術者、博士候補生の指導・教育・研修などの各種機会として、連続講座・集中講義の形態でのNIES情報発信を行う(AITまたは KMUTTの制度活用を想定)。アジア固有の社会環境の共通理解を深めると共に、能力開発と横断的ネットワークの早期形成を図る。

(2)短・中期でのNIESでの受け入れによる研修や、共同研究への一部参画など、柔軟な人材受け入れによる研究促進ならびに活性化をはかる。


海外での調査・研究事例

国際的研究の取組

写真:国際的研究の取組

資源循環・廃棄物研究を国際的に進めるために、主にアジア諸国の専門家との共同研究を精力的に実施しています。まず、アジアにおけるE-wasteの状況と環境影響や、廃棄物管理の改善と温室効果ガス削減について最新の情報を共有し、今後の方向性を討議するため、第2期中期計画終了時までにワークショップを多数開催してきました。また、現地の環境影響やリサイクル・廃棄物処理技術を適切に把握したり、現地に適合した技術開発を行うため、中国、韓国、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシアなどを訪問し、現地の専門家とともに調査研究を行っています。海外の専門家が当センターに滞在して、共同研究を行う場合もあります。


海外の実験施設(タイ・テストセル)

1970年代に開発された準好気性埋立は、浸出水水質を改善し、メタンガスの放出を削減する、低炭素型・低環境負荷型の国産環境技術です。この技術を降水量や気温など気候風土が異なる地域に合わせるため、2009年末にタイ王国ラムチャパン市とカセサート大学と共同で、同士の都市ぼごみ埋立地に埋立実験区画(テストセル)を設置しました。容積約7,000m3の2基のセルのうち1基をガス抜き管と集排水管を備えた準好気性セル、もう1基をタイ国で標準的な嫌気性セルの構造として、両者の浸出水やガス等を比較することにより、熱帯地域における準好気性埋立の効果を検証します。

写真:タイの実験施設(テストセル)